ベース歴30年の集大成。➀
思えば遠くへ来たもんだ。
私がバンドで『エレクトリック・ベースギター』なる楽器を弾き始めたのは、19歳の頃・・・確か1988年の暮れだったと記憶しています。
当時、私は爆風スランプのコピーをメインにしていたバンドでヴォーカルを担当していました。
幼馴染でそのバンドのベーシストだった鈴木君がある日突然「俺はプロを目指すから、このバンドは抜けるよ~。」と言ってバンドを脱退してしまい、高校の同級生だったギタリスト兼リーダーである染野君から、「俺のベースを貸すからお前が弾けよ。」と言われて否応無くやり始めたのがベースを弾くようになったそもそもの切っ掛けでした。
その後バンドは女性ヴォーカルを迎えてガラッとイメージチェンジを図り、全く別物のバンドに変身したのでした。
最初の課題曲は『東京少年』の♪プレゼントという曲で、初心者にはかなり手強い曲でしたねぇ・・・て言うか、東京少年の楽曲はベースラインが良く動き、時にはソロまで噛ますという今聴いてもかなりの難曲揃いで本当に大変でした・・・ハイ。
当時染野君から借りていたのは「ヴェスター」というブランドの【白いP-Jタイプのベース】・・・アイバニーズの【SRシリーズ】に似たデザインの物でしたね・・・。
あれからいつの間にやらもう30年以上の歳月が流れてしまっているという・・・正に「光陰矢の如し」ですねぇ~。
まさかこんなにも長い間続く趣味になろうとは、始めた当時は夢にも思っていなかったというのが正直なところですね。
今回ご紹介するベースは、そんな私自身の50歳という人生の節目と、ベース弾き歴30周年という『ダブル・アニバーサリー』を見越して2015年の暮れ頃に、行き付けの山野楽器(当時は銀座本店)さんを通じてフェンダーC/Sにオーダーした物です。
未だに場末の一素人ベース弾きに過ぎない私でも『天下のフェンダー』に楽器をオーダー出来るようになるのですから、やはり“継続は力也”ということなのでしょうね。
振り返ってみれば1994年からですので、山野楽器さんとも既に26年間・・・もう四半世紀以上の長いお付き合いになりました。
初代担当者の佐野さんに始まり、民谷さん、望月さん、そして現在担当の金子さんと、こんな物凄く面倒臭い客の為にとても細やかな対応をして頂き、全く以って感謝の言葉しか有りません・・・本当にいつもありがとうございます!
閑話休題。
さてさて、それでは今回のネタである【Fender Custom Shop M.B.S. Custom '68 Precision Bass Closet Classic】についてご紹介して参りましょう。
今回はどちらかと言えば『カスタムオーダーについての顛末記』といった内容になりそうですが、宜しかったらお付き合い下さい。
2015年当時、私がメインで使っていたのはフェンダーC/Sの【Adam Clayton Signature Precision Bass】、通称『金さん』でして、キーワードとしては『A-ネックのプレシジョンベース』と『貼りメイプル指板』、この2点こそが自分のプレイスタイルにとって極めて理想的な楽器の仕様であるという確信を持ち始めていた時期でした。
そして更に自分のフェイバリットな仕様を吟味して行くと、何と私の生まれ年である『1968年』にこそ、それらの要素を全て兼ね備えた『理想のプレシジョンベース』が制作される可能性が有ったと判明し、図らずも自分の生まれ年の楽器が理想形という嬉しい結論に辿り着いたのでした。
それらお気に入りのポイントをザックリまとめると以下の通りになります。
1. A-ネックのプレシジョンベース
2. 貼りメイプル指板
3. パドルペグ
4. トランジションロゴのデカール
5. カスタムカラー&マッチングヘッド仕様
これらの条件を全て満たした個体がオリジナルで存在するとしたら、それは1967~1968年に掛けての極めて短い期間に限られるのでした。
1968年当時のフェンダー社では製品の大掛かりな仕様変更の真っ最中であり、殊プレシジョンベースに関して言えば、ありとあらゆるスペックが混在した過渡期的な時期だったようです。
それだからこそ、面白いレアスペックなモデルが生まれる可能性が有ったという訳ですね。
但し、本当に当時のオリジナルでこの仕様の物が現存しているとしたら、軽く¥200万近い値段が付くのではないかなと・・・。(汗)
オーダーに際して上記5項目以外の基本的なスペックは1968年当時のオリジナルモデルに準ずるものとしました。
でも実はフェンダーC/Sへオーダーするにあたって、一番難しいのがこの『オリジナルスペックの完全再現』だったりするんですけどね・・・。
事細かく数値や仕様を指定しても、100%クリアーされることはなかなか難しかったりするんですよ・・・コレがまた困ったことに。
ちなみにフィニッシュに関しては当初カラーは大好きな青系で個体差が楽しめそうな『エイジド・レイクプラシッドブルー』を、エイジングタイプは適度な“ヤレ感”が有りつつも傷や塗装剥がれの無い『クローゼット・クラシック』を選択しました。
・・・と、ここで鋭い皆さんは「何で実器は『アイスブルー』なの??」とお気付きかと思いますが、これにはまた紆余曲折が・・・この辺りについては追々コメントさせて頂きます・・・ハイ。
今回はマスタービルダーへワンオフモデルをオーダーするにあたり、そのプレミアムな印象を付加するスペックとしてネック材と指板材には「AAグレードのフレイムメイプル」を指定しました。
欲を言えば豪勢に「AAAグレード」と行きたいところなのですが、そうするとお値段がグンッ!と跳ね上がってしまいますので、そこはチョット控えめにしてみました。
更にネックシェイプに関しては、当時山野楽器の担当者だった望月さん(現在は仙台店に在籍)が発案した『'60s Fat-C』と呼ばれるグリップ形状を採用しています。
これは一括りに'60年代仕様と言っても、実際のオリジナルモデルではネックグリップにも個体差が有って、ジャズベースのA-ネックの中には稀に“肉付きの有る若干太目のネック”を持つ個体が存在するそうで、望月さんはその僅かに太目なネックの弾き心地がとても気に入っていて、お店でジャズベースをオーダーする際に再現すべく試しにフェンダーC/Sへ提案し、導入してもらったスペックだとのこと。
実際にその出来上がったチームビルト・カスタムのジャズベースを試奏させてもらったのですが、確かにとても弾き心地が良くて、音色も若干ファットな印象を受け、「コレはとってもイイですねー!!」となった望月さんこだわりのスペシャル仕様だったりします。
そして、肝心要の『誰に作ってもらうのか?』・・・マスタービルダーの指名ですが、今回は『ジェイソン・スミス氏』へお願いすることにしました。
以前であれば迷うこと無く『マーク・ケンドリック氏』を指名したはずですが、マーク氏は既にビルダー職を退いており、直弟子である『ポール・ウォーラー氏』も候補に考えましたが、今回は以前に試奏した【'59 Precision Bass Relic】・・・ダコタレッドのマッチングヘッド仕様でゴールドアノダイズド・ピックガード 搭載というモデルがとても好印象だったことも有り、ご本人もベーシストで且つプレシジョンベースのユーザーであることも大いに期待が持てると考えて、ジェイソン氏を指名させて頂きました。
ちなみにジェイソン氏の経歴や出自については、公式サイトやその他の紹介ページにお任せするとして、ここでは割愛させて頂きますね・・・。
ともあれ、超売れっ子ビルダーであるジェイソン氏へオーダーするということで、当初は納期が3年程掛かるのではないか・・・と思われていたのですが、半年チョット過ぎた2016年9月の或る日に何気無く氏のInstagramのページを覗いたところ、「ん?!このベースは・・・やっぱりそうだよねぇ??」という訳で、何がどうなったのか、僅か10ヶ月足らずでオーダーしたベースの完成画像がアップされていたのでした。
それから1ヶ月程して実器が山野楽器銀座本店に届いたとのことで、喜び勇んで銀座まで出掛けたのですが・・・そこで私を待ち受けていた衝撃の事態とは・・・?!
To be continued !! でございます!!
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コメント
パドルペグのジャズベが欲しい
いつもお世話になっております。
今回は完全に読み物となってますね。
私もパドルペグ、マッチングヘッド大好物です。
CARのマッチングヘッドでパドルペグ、ブロックインレイ、
バインディングネック、1966~1967仕様 のジャズベが欲しい…
なんて言ったら軽くコンパクトカーが1台購入できるくらいの値段になっちゃいますよね。
昔はきっとそんなに高くなかったと思うのに。最近のビンテージは高いです。
まぁ、そう考えるとカスタムのマスタービルダーの方が全然安い
という理論は成り立ちますが…
とはいえ、
フェンダーカスタムのマスタービルダーに自分好みでオーダーって
やっぱすごいですねぇ。(^^)//゙゙
私は ATELLIER Z にでもカスタムオーダーもできない チキン野郎です。
まだまだ修行が足りないですね。
それにしても。うらやましい。
この続き大変楽しみです。o(^ー^)o
今回は完全に読み物となってますね。
私もパドルペグ、マッチングヘッド大好物です。
CARのマッチングヘッドでパドルペグ、ブロックインレイ、
バインディングネック、1966~1967仕様 のジャズベが欲しい…
なんて言ったら軽くコンパクトカーが1台購入できるくらいの値段になっちゃいますよね。
昔はきっとそんなに高くなかったと思うのに。最近のビンテージは高いです。
まぁ、そう考えるとカスタムのマスタービルダーの方が全然安い
という理論は成り立ちますが…
とはいえ、
フェンダーカスタムのマスタービルダーに自分好みでオーダーって
やっぱすごいですねぇ。(^^)//゙゙
私は ATELLIER Z にでもカスタムオーダーもできない チキン野郎です。
まだまだ修行が足りないですね。
それにしても。うらやましい。
この続き大変楽しみです。o(^ー^)o
Re: パドルペグのジャズベが欲しい
>北部方面低音隊さん
いつもありがとうございます。
キャンディーアップルレッドの【'66JB】をご所望の北部さんに朗報(?)です。
フェンダーC/Sの今年のイヤーモデルに【'66JB】が有るのはご存知でしょうか?
実はこのイヤーモデル、1項目の仕様変更は何とアップチャージ無し=無料でオーダーを受けてくれるのです!
ちなみに複数項目の変更もアップチャージにて対応してくれます。
つまり・・・その気になれば今年中なら【キャンディーアップルレッドの'66JB】を入手することは可能なのです!
お値段は多分¥53万前後になるのかな??・・・北部さん、1本如何でしょう??
いつもありがとうございます。
キャンディーアップルレッドの【'66JB】をご所望の北部さんに朗報(?)です。
フェンダーC/Sの今年のイヤーモデルに【'66JB】が有るのはご存知でしょうか?
実はこのイヤーモデル、1項目の仕様変更は何とアップチャージ無し=無料でオーダーを受けてくれるのです!
ちなみに複数項目の変更もアップチャージにて対応してくれます。
つまり・・・その気になれば今年中なら【キャンディーアップルレッドの'66JB】を入手することは可能なのです!
お値段は多分¥53万前後になるのかな??・・・北部さん、1本如何でしょう??