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本家本元。

BJFE BlueBerry Futura X

念願叶って、ようやっと『本物』を入手出来ました!!

いやぁ~、めでたい!
コレは本当に嬉しいです!!

以前にベアーフット版の【ブルーベリー・ベースオーバードライブ(以下、ブルーベリーBOD)】をメインで使っていた頃からずっと、「いつかは“BJFEのブルーベリー”を使ってみたいなぁ・・・。」と思い続けてはいたのですが、BJFエレクトロニクスの製品については当初輸入代理店だった㈱タハラが平成23年に廃業してしまって以来、後継の代理店が決まらないまま製品の輸入が途絶えてしまい、国内楽器店での入手は最早絶望的と言える状況が長らく続いていました。
近年になってワンコントロール製品の設計を通じて設計者のビヨン・ユール氏とタッグを組む様になった㈱レップインターナショナルがBJFE製品の取り扱いを開始した際には、「これでBJFE版ブルーベリーの入手が出来る様になるだろう。」と当初は喜んでいたのですが、実際に国内販売されるのはギター用の製品ばかりでベース用のブルーベリーが国内へ入って来る気配は一向に無く、シビレを切らした私は昨年にワンコントロールから【ブラックベリー・ベースオーバードライブ(以下、ブラックベリーBOD)】が発売された際に直販店であるナインボルトジャパンへBJFE版の輸入販売について問い合わせてみたのですが、先方からは「BJFE製品については個別のオーダーは受け付けておらず、入荷する可能性は有っても全て未定です。」との素っ気無い回答が有っただけでした・・・。

ところがそれから1週間も経たない内にデジマートでバリエーションモデルの1つである【ブルーベリー・フューチュラ X(以下、ブルーベリーFX)】が掲載されているのを見付けたのですが、既に【売却済】の表示が・・・。
慌ててナインボルトのサイトへ飛んでみましたが、結果は同じでした・・・。

入荷したんだったら、メールの1通くらいくれても罰は当たらないんじゃないの?!

と、この時ばかりは本当に腹が立ちましたね・・・「ふざけんなよ!!」と。

怒り心頭とは正にこのことでしたね・・・えぇ。

まぁ、怒り狂っていても埒が明かないので、その日からは毎日細目にレップインターナショナルとナインボルトのサイトを巡回する様にして再入荷に備えることにしました。
そしてそれから数ヶ月経ったつい先日、出先から帰宅する電車の車内で件のサイトをチェックしてみると何とビックリ、【ブルーベリーFX】が再入荷しているではありませんか!!
最寄り駅で降りてすぐさま行き付けの山野楽器吉祥寺店へ電話したところ、担当の金子さんはお休み・・・事は一刻を争うと考え、ギター担当の越石さんに事情を説明して取り寄せをお願いしたところ、「あっ、少々お待ち下さいね・・・。」と。
程無く越石さん曰く「本日、店に入荷していますよ!」と・・・私「へ?!」
そうなんです。先のナインボルトとのやり取りからの一連の流れを以前お店に伺った際に金子さんに愚痴ってはいたのですが、その後に金子さんがお店からオーダーを入れてくれていたとのことでした。

金子さんには本当にいつもいつもお世話になりっ放しで、ただひたすら感謝の気持ちで一杯です・・・ハイ。
今回もありがとうございます!


それにしてもナインボルトからの回答に有った「個別のオーダー」とは、どうやら=「個人からのオーダー」という意味だった様で・・・紛らわしいことこの上無いですな。(憮然)
ともあれそんな訳で、念願のBJFE版【ブルーベリーBOD】、今回はその進化版である【ブルーベリーFX】を遂に入手することが出来ました。
ところが、家に持ち帰って改めて音出しをしてみたところ、「???」な点に気付きまして・・・。
ブルーベリーFXのコントロールは[V]、[D]、[T]、[B]の4つとなっていて、レップインターナショナルのサイトには各々、
[V]=[Volume]
[D]=[Drive]
[T]=[Treble]
[B]=[Bass]
であるという旨のコメントが載っています。
ちなみにこの製品には「取扱説明書」は付属しておらず、メーカー(ビヨン・ユール氏)からの説明は一切無しです。
で、実際に音を出して色々といじってみたところ、[B]ノブを単独で回しても低音域はおろか高音域までのどの帯域でも音量の変化は起こらず、それどころかノイズさえも増減しないことが判明しました。
店頭での試奏時も「効きが判り難いなぁ~。」とは感じていたのですが・・・。
ここで脳裏を過った答えは「単純にハズレ(初期不良)を引いた。」のか、はたまた「そもそもコントロールの役割が違っている。」のどちらかだろうな・・・ということでした。
そこで念の為に現品を一旦レップインターナショナルへ返送して再度検品・・・未出荷の在庫品との比較確認を行なってもらったのですが、結果は在庫品との差異は無く正常であるとの「お墨付き」を書面で頂きました。

その間、個人的にBJFEペダルのコントロールについてネットでリサーチをしてみたところ、ペダルショップ・カルトの同社【リトルグリーンワンダー4K】の解説で[B]=[Body]であるとの記述を見付けました。
そこには“[Body]はローミッドと二次的に歪みをコントロールする。”とのコメントが有って・・・あ~、なるほどね~と。
思い返せばワンコントロール版ブラックベリーBODにも[Body]コントロールが搭載されていて、“アンサンブルでの立ち位置を調整する様にミッドレンジを調整する。”との解説が有ります。
ちなみにブラックベリーBODにはBJFE版も存在していて、そちらにもやはり[B]ノブが付いているんですね。
思うに、ブルーベリーFXの[B]ノブは[Bass]では無く[Body]で、恐らく効き方はブラックベリーBODと同じであろうと推察する次第。
中音域のポイントを移動させるだけの効果・・・つまりはパラメトリック・イコライザーの「フリケンシー」に相当する物だと考えれば、このノブを単独で動かしても音量が増減しないのは当たり前ということになりますよね。
そして[T]ノブに関しても[Treble]では無く、実際は基本モデルのブルーベリーBODと同じくローとハイを複合的にコントロールする[Tone]であろうということが推察されます。

実際に上記を踏まえて再度じっくりと音出しをしてみると、[T]ノブはベアーフット版ブルーベリーBODとは違って、最小位置ではフラットとなり、開いて行くに従いローとハイが僅かに持ち上がり所謂「ドンシャリ」傾向になる様な効き方をすることが判りました。
ちなみに[T]ノブはその最大位置の直前からロー/ハイ共に物凄く極端なブーストが掛かります。
使い方としては[D]ノブと[T]ノブで大まかな音色を作り、そこに[B]ノブの効きを絡めることでローミッドをプッシュした野太い音色や、少しだけエッジを強調してパリッとした音色を作り出したりすることが可能になります。
[D]ノブも単純に歪みの強さを調整するだけでは無く、ローの出方にも干渉している様に感じられますね。
歪みの強さもブルーベリーBODよりは若干ゲインが稼げる作りになっている様です。
実際のところ、普通にベース/トレブルの2バンドイコライザー構成にした方がもっと万人受けするとは思うのですが、これはこれでコツさえ掴んでしまえばチョット違った面白い音作りが楽しめるのも確かです。
まぁ、BJFE製品自体が相当マニアックな代物ですので、きっとこの仕様で『正解』なのでしょうね。

音色自体は独特の「艶感」を伴った、とても“リッチな音色”という表現がピッタリだと思います。
まるでビロードの様に滑らかな質感を持つ濃厚で甘い歪みのキャラクターはブルーベリーシリーズに共通するもので、正に“唯一無二”の特徴だと言えるでしょう。
私自身は以前から既にこの甘い音色の虜になっちゃっていまして、「一度使ったらもう忘れられない。」という麻薬的な魅力にすっかりハマッてしまっております。
ちなみに生音を混ぜる仕掛けは有りませんが、その必要性は全く感じられませんね。
このペダルをONにしてもベース音のファンダメンタルな部分は全く損なわれない印象で、出音の芯や輪郭、例えばプレシジョンベースで使えば出音の温かさやふくよかさもそのままキープされるという感じです。
この原音を崩さずに上質な歪みを加えて更に良い音にまとめ上げるというところは、BJFE製品の歪みモノに共通する素晴らしい特徴だと思います。

ワンコントロール版ブラックベリーBODではエフェクトONにすると位相が反転してアンサンブルでは出音が引っ込んでしまう恐れが有るとプロのベーシストの方が指摘をされていましたが、今回入手したブルーベリーFXがその辺どうなのかはバンドデビューさせていない現状ではまだ判りません。
ベアーフット版ブルーベリーBODではバンドアンサンブルで音が埋もれるようなことは無く、とても良い効果を得られていたのですが、果たしてどうなるのか期待と不安が入り混じった複雑な心境では有りますね・・・ハイ。
その点も含めて、機会が有れば是非とも【BJFE版ブラックベリーBOD】を使ってみたいですね!

ON/OFFのフットスイッチに関してですが、BJFE製品と言えば「繋いだ方が音が良くなる。」との定評が有り、単体のバッファーとしても製品化されている回路を用いた『バッファードバイパス』で有名なのですが、本機は何故だか解かりませんが『トゥルーバイパス』仕様となっています。
最初に音出しをした際、エフェクトをONにする時に「プッ」という切り替えノイズが有ったので「ん?」と思い、自宅で確認したところ電源無しでもバイパス音が鳴るので「あらあら、そうなのね~。」と。
個人的には曲中でエフェクトのON/OFFを切り替えるケースが多々有るので、出来れば切り替えノイズの発生しないバッファードバイパス仕様の方がありがたかったのですが・・・。
トゥルーバイパス仕様の製品としては切り替えノイズがかなり抑えられているとは言え、折角の評判が良いバッファー回路の恩恵に与れないのは正直申し上げてかなり残念な、今回最もガッカリさせられたポイントですね・・・。
エフェクトON時のノイズについては電源環境に由来する物以外は感じられませんので、ちゃんとしたパワーサプライを使えば特に問題は無いのかな?と思われます。

価格的にはワンコントロール版ブラックベリーBODの2倍以上もしますので、決して万人にお薦め出来る様な製品では有りませんが、数々の『名機』と呼ばれるペダルを設計されているビヨン・ユール氏が自らの手で組み上げたペダルを愉しむことが出来るというのは、ある意味とても“贅沢”な話ですし、貴重な体験なのかもしれません。
何せ市場に出回っている現物のタマ数が本当に少ないですからねぇ・・・。
ちなみに今回私が入手したブルーベリーFXのシリアル№は何と『26』!!
発売されてからもう何年かは経っていると思うのですが、未だ世界中でたったの30台前後しか出回っていないという『超レア・アイテム』だったりする訳ですねぇ~。

実は只今エフェクトボードを全く新しくゼロベースから構築中なのですが、新規購入したペダルボードのスペースの都合で残念ながら歪みモノは1つしか乗せられそうに無いんですね。
今回入手したブルーベリーFXはその筆頭候補になっていまして、先述の通りバンドで試してみて問題が無ければそのまま『メインの歪みモノ』として使って行くことになりそうです。

私が参加しているバンド『甘味三昧』もコロナ禍の影響でスローペースでは有りますが、新メンバーでの練度を着々とアップして来ていますので、そう遠くない将来に再びライヴハウスのステージに立つことが出来るのではないかな?・・・と考えております。

全く新しいIgaサウンドと共に、乞うご期待です!
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テーマ : 楽器
ジャンル : 音楽

モデル名は【オーバードライブ】。

TEISCO Overdrive

見た目はビザール、でも中身は至極真っ当で高品質。

本当は最近愛用している「プリアンプ」のインプレッションをアップしようと考えていたのですが、余りにもインパクト大なぺダルが手に入ったので、そちらを先にご紹介することにしました。

さて、皆さんは『TEISO(テスコ)』というブランドをご存知でしょうか?
40歳くらいより上の年齢の方であれば、当たり前の如くご存知だとは思いますが、若い方だと全く知らないという方もいらっしゃったりするのではないかな~??・・・と。
何と'40年代末の昔から'80年代の半ばに掛けて、河合楽器の傘下で非常にユニーク且つ特徴的なギターやベース、シンセサイザー等を製造していた国産メーカーですね。
強いて挙げれば『Danelectro(ダンエレクトロ)』に相通じる様なテイストを持った製品が多かったと記憶しています。
一旦は消滅してしまっていたブランドだったのですが、近年になって遠くシンガポールの地でエフェクター・メーカーとして復活の狼煙を挙げた様で、【ブースター】、【ディレイ】、【ファズ】の3モデルが日本でも既に販売されています。
全体的に何とも言えないビザールな雰囲気を醸し出している筐体のデザインが特徴的で、特にそのモデル名には型番が無く、先に挙げた様に全て「日本語のカタカナ表記」となっているところが最大の特徴だと言えます。
特に【ブースター】についてはベースでも使えそうな仕様でしたので、機会が有れば試奏してみたいなぁ~と思っていたところでした。

一昨日に注文してあった「とある品物」が入荷しましたとの連絡を頂き、土曜日に行き付けの山野楽器吉祥寺店へ引き取りに出掛けたのですが、店頭で何と無くショーケースを眺めていたところ、ふと陳列されているテスコのペダル群に目が留まりました。

ん?!・・・【オーバードライブ】ですと!?

そこには既に見慣れた3機種に加えて【オーバードライブ】、【ディストーション】、【インターフェイス】という新たなモデルが並んでいて、中でもド派手な黄色い装丁の【オーバードライブ】には自然と目が行ってしまいました。(笑)
[BASS]と[TREBLE]に分かれた2バンドのイコライザーを見た瞬間に「コレは行けそう!」という閃きが頭を過りましたので、担当の金子さんにお願いして試奏してみることにしました。

実物を手に取って見ると、ヌラヌラとした光沢を放つ山吹色の筐体にはオレンジ色で「幾何学模様」がプリントされていて、筐体自体の丸みを帯びたフォルムや独特な形状で小振りなホワイトカラーのツマミ、そしてカタカナ表記で大書されているモデル名も相まって、味わいの有るレトロ且つポップな雰囲気を演出しているところがとっても印象的ですね。
[KICK]と名付けられたトグルスイッチ以外に特にギミックは無く、ズッシリと重量感の有る筐体には今時珍しさを感じましたがそれもその筈、筐体の素材には最近めっきり見掛けなくなった「亜鉛合金」を用いているとのことで、レトロなルックスに正にピッタリなセレクトと言えそうです。

試奏にはフェンダーC/Sの【1966 Jazz Bass Journeyman Relic】(←これがまた目茶苦茶良い出来)をお借りして、いつものハートキー【HA3500】+【4.5XL】との組み合わせでした。
今回の【オーバードライブ】は特にベースでも使える云々とは謳われていませんが、結論から申し上げればベース単体で聴く限りでは全く問題無く使えますね。

[GAIN]はブースター用途に適したローゲインからそこそこ歪ませられるくらいまでのコントロール幅が有り、ベースで16分の細かいフレーズを弾いてももたついたりキレが悪い様なことも無く、ピッキングに対するレスポンスはすこぶる良好です。
歪みを上げ目にしてもこのペダルならではのキャラクターや癖は余り感じられず、どちらかと言えば今風で透明感の有るモダンな歪みの掛かり方で、そのレトロなルックスとは裏腹に流石は最新のモデルなんだよなぁ~といった印象ですね。

[BASS]、[TREBLE]の2バンド・イコライザーも4弦ベースであればそれぞれ“美味しいポイント”でしっかりと効いてくれるので、全く不満は感じられませんでした。
[BASS]は上げて行くに連れスピーカーをバフバフ言わせられるくらいの音圧感が有って、ベースで使っても実に心地良いローを得ることが出来ますし、[TREBLE]は出音のエッジ感をコントロールするのに丁度良い塩梅の帯域を弄ることが出来るので、使い勝手はとても良い感じです。

[KICK]スイッチは中音域と[GAIN]に絡んで出音の質感を変化させるとのことですが、ONにすると全体的に出音が「シャキッと立つ」様な印象で、個人的にはONにした方が好みですね。

ON/OFFスイッチはトゥルーバイパス仕様で、電源を入れて間も無い状態ではかなり大きめのポップノイズが発生しますが、何度かON/OFFを繰り返すことでポップノイズは低減される様です。
私もそうですが、スイッチャーやルーティングシステムを介さずにライヴやレコーディングで使用する際には少々注意が必要でしょうね。
静音時のノイズは殆ど感じられず、対策がキチンと為されていると考えられます。
ちなみにエフェクトON/OFFのインジケーターランプは高輝度の白色LEDです。

使用電力量はDC9Vで20㎃と歪みモノ単体としては若干多めなので、恐らくは内部で昇圧されているものと思われます。
ベースでも何の問題も無く使える様な使い勝手も含めて、見た目のビザールな雰囲気とは相反して中身は実に至極真っ当で現代的な作りを持つ、非常に実用性の高いオーバードライブ・ペダルだと思います。
価格も決してバカ高くは無いので、これなら多くの方にもお薦め出来るかな、と。
勿論、私自身も「お持ち帰り」になってしまったことは最早言うまでも有りません。(笑)

ラインアップされているどのモデルを見てもかなり個性的なルックスなので、先ずはそこで好みが分かれてしまう様な気がしないでも無いですが、他人とはチョット違う物を使いたいんだけど、やはり音質や機能にはこだわりたい・・・そんな天邪鬼な方には正にうってつけと言えそうなのがこの『新生テスコ』の製品かもしれませんね。
私自身も購入した「とある品物」と一緒に使う為のペダル候補が更に増えてしまい、暫くの間は「あーでも無い、こーでも無い。」とペダルを取っ替え引っ替えしながら悩む日々が続きそうです・・・ハイ。

ではでは、また。


追記 個人的な話ですが喪中につき、新年のご挨拶は控えさせて頂きました。
   悪しからずご了承下さいませ。

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牛頭人身の怪物。

SUMO STOMP MINOTAUR

ガチンコの高品質にキッチュな遊び心を乗せて。

かの有名なオーバードライブ・ペダルの【Centaur】をベースで使ったことが有るという人は、きっとそんなに多くは居ないのではないでしょうか?



動画を探してみても、これ1本くらいかな?・・・という。
ギター用のペダルですけど、ベースで鳴らしても中々良い音してますよね~。
決してアンプライクでは無いものの、このペダルならではの音色がしっかりと感じられます。
ただ如何せん今となっては廃版品で、且つ希少価値からプレミアが付いてしまい、中古市場でも¥10万は下らない価格が付けられていることもあって、正直素人には手を出し辛いアイテムではないかと思われます。

所謂「ケンタウロス系」のペダルとしてはエレクトロ・ハーモニックスの【Soul Food】が比較的安価な製品として知られていて、そのベース専用版である【Bass Soul Food】もラインアップされてはいるのですが、個人的にはどうもそそられる何かが感じられなくて、これまで全くノーチェックの状態だったりします。

そして、そんなケンタウロス系オーバードライブのベース専用品として新たに発売されたのが、今回のネタであるSUMO STOMPの【MINOTAUR】です。
スモウ・ストンプはベース用アイテムをメインに展開するハイエンドなぺダルブランドとして知られているInner Bamboo Electronが、比較的安価な価格帯(それでも十分に高額ですが・・・。)で商品展開を始めるにあたって新たに起こしたブランドです。
これまでに自社製品であるベース・プリアンプやコンプレッサーのダウンサイジング版に加え、TS808とTS9の特定個体のクローンモデルを発売していますが、どれもその品質についてはかなり評価が高いようですね。
で、今回はビルダーさんが個人的に所有なさっている【ケンタウロス】のシリアル№873を可能な限り忠実に再現したクローンモデルである【Long Tail #873】が作られ、それを基にベース専用品として更なるモディファイを施された物がこの【ミノタウロス】となります。

画像で伝わるかどうかは判りませんが、パッと見のルックスだけでも高品質な様子が滲み出ているような雰囲気です。
筐体にはシルキーな質感のマットシルバーで丁寧に塗装が施されており、オリジナルのケンタウロスと同色のチョコレートブラウンのコントロールノブが使われていて、そのこだわりの程が伺えます。
天面には文字やシンボルマークがレーザー彫刻された極薄のプレートが貼り付けられており、質感の高さとコストカットを上手く両立させている様子が見て取れます。
私自身、実はケンタウロスのベース版云々と言うところよりも、この上質感溢れるルックスに魅かれて試奏してみたくなった・・・というのが正直なところだったりします。

肝心の出音についてですが、残念ながら私はオリジナルのケンタウロスをベースで使ってみた経験が無いので「オリジナルの再現度」についてはコメント出来ませんが、上に挙げた動画の音色に極めて近い雰囲気であることは確かだと思います。
先ずON/OFFのスイッチが一般的なトゥルーバイパスでは無く元器同様にバッファードバイパスで、その音質にもこだわって作られているとのこと。
実際にミノタウロスを繋ぎエフェクトOFFの状態の音色を確かめてみると、スタンダードなBOSS製品のように嫌な方向での音色の変化は感じられません。
我が家では電源環境の悪さから静音時にノイズが若干発生するものの、それを差し引けばぺダルに由来するようなノイズは全く感じられません。
特にバッファードバイパスならではのON/OFF切り替え時にスイッチングノイズが全く出ないところは、私のように曲中でON/OFFの切り替えを行なうような使い方をするユーザーにとっては非常に有難く、その恩恵を大いに感じられるポイントだと思います。

コントロールはシンプルな3ノブで、[GAIN]はクリーンブーストからそこそこハードに歪ませるところまで、幅広い歪み具合の調整が可能です。
歪みを強めにしても出音の芯が無くなってスカスカになってしまうようなことは無く、非常に密度感の高い“強い出音”を得ることが出来ます。
それはただ単純に「太い」と言うよりも『骨太』と表現するのがピッタリな印象ですね。
「アンプライク」とはまたチョット違う、所謂TS系ともまた違った魅力的な音色です。
生音を任意で混ぜる仕組みは有りませんが、その必要性は全く感じられず、歪ませても原音のニュアンスはしっかりと残っているように感じられます。
ローゲインでのコントロール幅が広いので、歪むか歪まないか辺りの微妙な加減を細かく追い込めるところが実に美味しいですね。

[TREBLE]は出音の輪郭を補正するような効き方で、これまた実用性が高い印象です。
もうチョット、あと少し・・・といった匙加減でのコントロールが出来るので、とっても使い勝手が良いです。
逆に低音域を弄るコントロールは有りませんが、その必要性を感じないくらいにローの出方はしっかりとしていて重心が低く、下手に弄らない方が良いと思わせられるくらいですね。

さてさて、このままでも充分に魅力的な【ミノタウロス】なのですが、何と更にもう一段“斜め上を行く”仕様の『完全数量限定版』が存在するのです!!

それがこちら!!

SUMO STOMP MINOTAUR Limited Version

もう何と言うか、笑っちゃうしか無いですよねぇ~。
オリジナルのケンタウロスの筐体を3/4位にダウンサイジングしたアルミ削り出しの筐体を新たに作成し、回路にも手を加えて更にオリジナルに近付けるようなリファインが施されているとのこと。
そして何と言ってもインパクト“大”なのが、プロトタイプの物にマジックペンで落書きされていた絵がそのままのデザインで筐体にエングレービングされているという・・・。(爆笑)
ストイックなまでにオリジナルモデルを追求した大真面目な製品のフロントフェイスにこの「針金人間」をモチーフにした“キッチュな”フィニッシュワークの組み合わせのセンスが余りにも素敵過ぎます!!(笑)

音色の方は基本的な歪みのキャラクター自体に違いは無いものの、出音の芯の部分・・・「コシ感」とも言えるところが更に力強く、『骨太さ』がより増しているという印象です。
これによって原音のクリーンな質感が活きた“ピュア”という表現がピッタリな、加工臭を余りを感じさせない生々しい歪み感を得ることが出来るようになっています。

【通常版】と【限定版】との差異ですが、ルックスは勿論のこと、音色についても総じて「個体差」というようなレベルの違いでは無く、『別物』と評するのが正しいと思いますね。
個人的に申し上げれば、仮に【限定版】を先に入手していたとしたら、恐らく【通常版】の方は買わなかっただろうなぁ・・・と。
で、出来ることならばもう1台、【限定版】を入手したいという欲望がメラメラと・・・それくらい【限定版】は本当に良く出来た製品なんですよ・・・ええ。
実際に山野楽器の金子さんに「もう1台何とかなりませんかねぇ~??」と大真面目で問い合わせてみたのですが、残念ながら「ダメでした・・・。」との回答が・・・。
恐らくは合計で100台程度しか制作されていない真に『レア物』の様ですので、これはもう致し方無いと言ったところでしょうか・・・。

そんな訳で、非常に魅力的な製品ながら既に“幻の一品”となってしまっている【限定版ミノタウロス】ですが、ご興味のある方は見掛けたら「即ゲット」することを強くお勧めします。
【通常版】でも十二分に素晴らしい出来映えですが、【限定版】は更にその上を行く恐るべき完成度の高さですので、例えプレミアが付いていたとしてもその価値は充分に有ると個人的には思いますね。

・・・と、ここまで散々持ち上げておきながら、実は私自身はまだこの【ミノタウロス】を実戦投入していなかったりします・・・。
何故なら私はここ暫くの間、「歪みモノのペダル」を全くと言って良い程使わなくなってしまっているからなのです・・・ハイ。
『歪み命』と公言してはばからない私が「歪みモノ」を全く使わなくなったその理由とは如何に・・・?!

To be continuedでございまする!

テーマ : 楽器
ジャンル : 音楽

ベース歴30年の集大成。➃

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-7

この先何処まで行くのやら・・・。

それでは改めて【新Igaモデル・プレシジョンベース】のディテールを、「スペックシート」を参照しつつご紹介して行きましょう。

基本は【1968年モデルのプレシジョンベース】で、当時でも有料のオプションメニューとして設定されていたジャズベース仕様のナローネック=『A-ネック』にて制作されています。
エイジドタイプは『クローゼットクラシック』で、使用感を余り感じさせない・・・経年変化によって生じた塗装面のヒビ割れ(クラッキング)は再現されているものの、使用に伴って出来るであろうキズや擦過による塗装剥がれの表現は殆ど無し(小さな打痕の表現のみ数ヶ所有り)で、塗装面にも「N.O.S.」に近い艶が有ります。
このフィニッシュを選択した理由ですが、理想としては真っ新な新品である「N.O.S.」にしたかったところなのですが、「N.O.S.」製品は日本に到着するまでの間に塗装のトラブルが発生する可能性がその性質上どうしても高い為、そのリスクを少しでも低減させたいという意図が有ったのと、やはり「N.O.S.」製品を実際に使っていて自分の不注意でキズを付けてしまった時の精神的なダメージを回避する為・・・ですね。
特に“最初の一発目のキズ”を付けてしまった瞬間のあのショックはまるで奈落の底に突き落とされた絶望感の様な、本当に深刻な精神的ダメージを喰らっちゃうんですよ・・・私の場合。
それは正に《心が折れてしまう》っていうヤツですね・・・ハイ。
そんな精神衛生上の問題・・・「レリック」仕様の場合、当然最初からキズが付いていますので、新たに自分でキズを付けてしまっても然程気にならない点は有り難いのですが、新品なのにわざわざキズだらけの物を買うというのも、チョットどうなのかなぁ~??・・・という訳で、「N.O.S.」と「レリック」の中間にあたる『クローゼットクラシック』が自分にとっては丁度良い選択肢だったという次第ですね。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-8

ボディー材は『アルダー』の2ピース構成で、材の接ぎ目を1弦側にずらした『オフセットシーム』を採用しています。
このオフセットシームはヴィンテージ物の個体では比較的良く見受けられる特徴なのだとか。
ネックジョイント部を避ける形でボディー材を貼り合わせる為、一般的な「センターシーム」の物より強度が稼げるとのこと。
また、アルダー材に関してはアップチャージ項目となる『軽量材指定』を行なっています。
そのお蔭も有ってか、製品重量はP.U.フェンスのみを取り外した状態でおよそ3.7㎏(アナログ体重計実測値)と、かなり軽量に仕上げられています。
やはり齢を取って来たせいか、バンドのスタジオ練習でベースを約3時間ぶら下げているのと、行き返りの道程で約2時間背負って歩くのが段々しんどく感じる様になって来ましたので、こういった軽さには非常に有難味を感じますね~。
「軽い楽器は音色も軽くなりがち」とは良く言われる話ですが、本器に関してはその様なことも無く、どっしりと腰の据わったサウンドなのはやはり“ジェイソン・マジック”と呼ぶべきところでしょうか。

P.U.は現在C/SでP.U.制作部門の責任者を務めているホセフィーナ・カンポス女史の手による『ハンドワウンドの専用品』が搭載されています。
エレキベースは電子楽器ですから、やはりこのP.U.が音色にもたらす影響はかなり大きな割合を占めているのではないかと私は考えています。
マスタービルトモデルでは、マスタービルダーご本人にP.U.の制作を依頼することも可能ですが、大概はオーダー時のディスカッションで「ホセフィーナが手巻きしたP.U.の方がお薦めだよ。」ということで、それに落ち着くケースが多い様ですね。
まぁ、自分でも作れないことは無いけれど、やっぱり「餅は餅屋」ということなのでしょう。
本器に搭載されているP.U.は'59~'62モデルをベースに作られている様で、1968年モデルであれば本来は「グレーボビン」が使われている筈なのですが、ボビンが何色なのかは未確認です。
恐らくはピックガードを交換した際に、山野テクニカルのリペアマンの方は現物を見ていると思われますが・・・。
P.U.のキャラクターについてはとにかく『素直』で、弾き手のニュアンスをありのままアウトプットしてくれる・・・そんな印象です。
出過ぎず、弱過ぎず、程良くファットな出音で耳に心地良く、それでいて弾き手のアラが見事にバレてしまうくらいのデリケートさをも併せ持った、とても秀逸な出来栄えのマイクだと思います。
流石は『P.U.レジェンド』の異名を持つ前任者のアビゲイル・イバラ女史が自ら後任に指名した直弟子の方だけ有って、そのP.U.制作の腕前は確かなものの様ですね。

ピックガードは先述の通り【パーチメント3-プライ】から【ホワイト3-プライ】に交換されています。
その為かヴィンテージライクな雰囲気は若干薄れてしまいましたが、逆にブルーアイスメタリックのカラーやパールドットのポジションマーク、更にはメイプル指板の色味とも相まって“涼やかでクールな雰囲気”がかなりアップしましたので、これはこれで「結果オーライ」なのかな?・・・と。
ちなみに1968年までの仕様となるピックガードと同形の【アルミ製シールドプレート】もキッチリと装着されています。
どうせならP.U.カバーやフィンガーレストも白色に換えてくれれば良かったのに・・・というのはチョット欲張りでしょうか。(笑)

ブリッジはやはり1968年半ばまで使われていた「スパイラルサドル仕様」の物が搭載されています。
ブリッジカバーは本来この裏側にミュート用のラバーパッドを貼り付けて使う為の物ですが、私は単純に“ルックスがカッコイイ”と思うので取り付けています。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-10

ボディーの表裏にはクローゼットクラシック仕様の最大の見せ場となる、所謂「ウェザーチェック」の表現が全面に渡ってビッシリと入れられています。
これだけの広い面積に対して均一に、クラックの太さやクラックが入っている目の細かさが見事なまでに揃っている様子を見るに付け、その細工の繊細さには只々驚かされるばかりですね。
ここまで来ると、最早一つの『芸術』ではないかと思いますよ。本当に。

これを眺めながらバーボン3杯は余裕でイケますよ。ええ。

それは正に日本の伝統工芸品を見ているのと同じ様な感覚ですね。
ある種の『美しさ』を感じさせられる素晴らしい『作品』ですよ。

ネックのジョイントプレートにはジェイソン氏のサインがエングレービングされた専用シリアルナンバーの物が使われています。
これはオーダー時にベースモデルの年代に合わせた仕様の物とどちらかを選択することが可能となっていて、今回は「サイン入り専用品」を指定したのですが、個人的に実はコレを指定することこそが《ビルダー独自の仕様》のゴリ押しを招く遠因になってしまっているのではないか?と睨んでいたりします。
やはり“自らの名前を刻み込んだ作品”・・・バイオリンの様に百年のレベルとまでは行かずとも、少なくとも数十年の後世に自分の名前が刻まれた楽器が残ることを考えれば、そこに何かしらの『自己表現を残したい』という思いが起こったとしても、それは全く不思議なことでは無い様に思うんですよね。
まぁ、だからと言って顧客の注文内容を無視しても良いという話にはなりませんけど・・・。(苦笑)
ちなみに、件の中村梅雀さんがオーダーしたジャズベースもネックのジョイントプレートは『ジョン・クルーズ氏のサイン入り』なんですよね。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-13    Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-14

ネックはジャズベース仕様のナローネック=『A-ネック仕様』で所謂『貼りメイプル指板』となっています。
本来1968年仕様であれば指板は「ラウンド貼り」となるのですが、本器では'60年代初期に特注品で極少数が作られたという『フラット貼りメイプル指板』が採用されています。
ローズウッド指板では一般的にスラブボードは「ダークで落ち着いた音色」になる傾向で、対するラウンドボードは「明るくパーカッシブな音色」になると言われていますが、これがメイプル指板ではどの様な違いになるんでしょうかねぇ??
ワンピースネックとの違いも含めて実に興味深いところです。
もっとも、現行品のメイプル指板では「フラット貼り」が一般的ですので、今となっては特に珍しい仕様でも無かったりするんですけどね・・・。
ただ、この「フラット貼り」の指板もジェイソン氏がオーダー指定を敢えて無視して取り入れたスペックですので、一体何を狙ってのことなのか、そしてどの様な効果を得られたのかは非常に気になりますね。

ネックグリップは通常の「'60s U-シェイプ」よりも一回り肉付きを増した『'60s Fat C-シェイプ』を採用しています。
プレシジョンベース好きの方には細身で頼りなく感じられるナローネックを嫌う方もいらっしゃるようですが、そんな方々にも一度触ってみて欲しいくらいにしっかりとした“ゴン太さ”を感じられるネックシェイプです。
ネックサイドとネックの頂点部をメインに肉付けが施されている様で、ネックを握り込んでも親指をネックバックに添えてもその一回り太くなったネックの感触を実感出来ますね。
ナローネックのプレシジョンベースは出音が若干スッキリした感じになる・・・というのが、過去に同仕様の『金さん』と『ミケ』を使って来た上での印象なのですが、本器に関してはどうやらそれは当て嵌まらない様でして、とにかく出音にはそういったスッキリ感は微塵も感じられず、如何にもプレシジョンベースらしい野太く逞しい音色です。
以前に「音色を左右するのはネックの質量」という話を耳にしたことが有るのですが、本器の音色にもしも『Fat-Cのネックシェイプ』が寄与しているのだとしたら、それはもう正に狙い通りの効果を得られたのではないかと思いますね。

ネック材と指板材にはアップチャージ項目である『AAグレードのフレイムメイプル』を指定し、共に『柾目材』が用いられています。
恐らくは同一の材から加工された物だと思われるのですが、このフレイム材の杢目の出方がとってもユニークでして、見る角度によっては杢目が消えてプレーン材に見えたり、逆に5Aグレードと言っても通じるくらいの『バリトラな杢目』が浮かんで見えたりもするという非常に面白い杢目なので、見ていて全然飽きの来ない“愉しさ”が有ってとても魅力的です。
こういった木材をセレクトするセンスも「流石はジェイソン!」と言ったところでしょうか。

指板のアールはヴィンテージモデルの7.25インチで、フレットにはミディアムジャンボサイズの物を用いており、1968年当時のオリジナルと同様のスペックになっています。
指板面のポジションマークはメイプル指板ながら『ホワイトパーロイド・ドット』となっていて、このベースを象徴する特徴となっています。
当初は本当に違和感が有りまくりだったんですけど、これがまた不思議なもので見慣れて来ると段々「カッコイイ」と思える様になるという・・・「な?コッチの方が最高にクールでイカしてるだろ?」という、“してやったり顔のジェイソン氏”が目に浮かぶ様で何かチョット癪ですねぇ~。(笑)
指板サイドのポジションマークはブラック・ドットになっていて、実用性がキチンと考慮されている辺りも抜かりが無いですね。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-11    Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-12

チューニング・キーには1968年仕様独特のポイントである通称『パドルペグ』が用いられています。
オリジナルではフェンダー社内にて自社生産されたパーツでしたが、現在C/Sで使用されている物はヒップショット社製になります。
シャフトの軸受けが角張っているところがヒップショット製品の特徴ですよね。
一般に市販されている製品とは異なり、ベースプレートにはちゃんと「Fender®」の刻印が有りますけど、実はオリジナルのパドルペグには「®」=レジスターマークは無かったりします・・・。
所謂「ミレニアム」の頃には存在しなかったパーツですが、何でも聞いたところによればマーク・ケンドリック氏とヒップショット社の社長さんが友人関係で、その伝手で製品化が実現したパーツなのだとか。
オリジナルのパドルペグはそれまで使われて来たクルーソン社製の逆巻きペグよりも精度が若干落ちるとの評価が一般的な様ですが、ヒップショット社製のパドルペグには当然ながらそんなことは無く、チューニングの精度や安定性はすこぶる良好です。
ただ、ペグを回す時のフィーリングがちょっと「カクカク」する感触なのが気になると言えば気になるところですけど・・・。
最近では【ハマ・オカモト プレシジョンベース#4】でゴトーガット社製のパドルペグ【FB-3L】も登場していて、刻印を除いた再現度や操作フィールではそちらの方が優れている様な印象も有りますね・・・。
ともあれ、ツマミのプレート部分が「まぁるいフォルム」のパドルペグは個人的にはとてもお気に入りのパーツなので、それを自身のベースでフィーチャーすることが出来て嬉しい限りです。

メーカーロゴのデカールは1964年後半~1968年中頃の間に使用されていた『トランジションロゴ』と呼ばれる物で、これも私がお気に入りの仕様ですね。
ヘッドストックのカラーはボディーと同色の『マッチングヘッド』仕様で、実はオールドのプレシジョンベースでは殆ど存在しなかったレアな仕様になります。
個人的にはこのマッチングヘッド仕様も大好物の一つでして、何時か必ず・・・とチャンスを狙っていたところでした。
ヘッドトップ側の塗装面にはボディーと同じ様にウェザーチェックがビッシリと入れられていて、ペグポストの周囲には変色を表現したウェザリング塗装も施されており、とてもリアルな仕上がりになっています。

ネック裏にはジェイソン氏のサインをプリントしたデカールがトップコートの下に貼られています。
ストラップボタンは後付けでは無く、今回はデフォルトで取り付けられている物ですね。
因みにこの画像を見て頂ければ、先述したフレイムメイプル材の杢目を実感して頂けると思いますが、如何でしょう??
とっても綺麗でしょ?

弦はオーダー時にダダリオのフラットワウンド【ECB81】を指定していましたが、Instagramの画像ではラウンドワウンド弦が張られていましたね。
実際に納品された時にはオーダー通りのダダリオの【ECB81】に張り替えられていて、ほぼ完璧と言えるセットアップが施されていました。
以前に伺った話だと、山野楽器さんではマスタービルトモデルに関してはビルダー本人のセットアップを尊重して極力再セットアップは控える様にしているのだとか。
今回のプレシジョンベースにもジェイソン氏の卓越したセットアップのスキルが存分に発揮されているであろうことは疑い様が無く、ベース自体が元々持っている素性の良さとポテンシャルの高さに加えて、微に入り細に入り心憎いばかりに行き届いたセットアップとが相まって、この『異次元』とも言える様な極上の音色と弾き心地を実現しているのだと思われます。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-9

さてさて、そんなこんなでようやっと【Custom '68 Precision Bass Closet Classic】が私の下へ嫁いで参りました。
今回のオーダーにまつわる一連の流れの中で、新たな『カスタムショップ製品の楽しみ方』に気付くことが出来たのは、今後残り時間の方が少なくなったと言える私のバンドライフに今までとは違った『サムシング』を与えてくれそうな予感がしています。
これまではただひたすらに【究極のヴィンテージ・リイシューモデル】を実現するという言わば“王道”の楽しみ方一辺倒だった訳ですが、これを機にヴィンテージ・リイシューを更に昇華させた【C/Sでなければ実現不可能なモデル】を手にするという「過去の再生」だけでは無い『新たな創造』を盛り込んだ“オンリーワンな1本”をカタチにしてもらうというのも、実はとっても“愉しい”ことなんだなぁ~と気付かされましたね。

現物を作る立場であるマスタービルダー諸氏にしても、来る日も来る日もただひたすら【サンバーストでレリックの王道モデル】ばかり作らされていてはきっと面白くは無いでしょうし、たまには自分の好きなように作りたいという欲望は常日頃から持っている筈です。
毎年NAMMショウに出展される数多のマスタービルトモデルは、正にその想いが具現化した作品群と言えるのでは無いかと。
ジェイソン氏にしても、本稿➀に画像を貼り付けて有る今年のNAMMショウモデル【Prestige Luna Y Sol Precision Bass】を作っている時の方が、私の【'68 Precision Bass】なんかを作る時よりも遥かに楽しい時間を過ごせたであろうことは容易に想像出来ますよねぇ・・・。

もしも今一度、もう一度フェンダーC/Sにベースをオーダーする機会に恵まれることが有るならば、制作を担当するマスタービルダーの方にもワクワクしてもらえる様な、楽しみながら作ってもらえる様な、そんな魅力的な仕様のモデルを提案出来たらなぁ・・・と考えております。
既にプランは幾つか有りまして、中には山野楽器の金子さんが「それはイイですねっ!!是非とも見てみたいです!!」と大絶賛してくれているアイディアも有ったりします。
コロナ禍の影響で今現在は国内楽器店によるフェンダーC/Sファクトリーへのオーダーツアー再開の目途は全く立っていないとのことですが、再開された暁には私自身のオーダー品としてでは無くとも、山野楽器の【ショップオリジナルモデル】という形でも日の目を見ることが出来たら嬉しいんだけどなぁ~と・・・ムフフ。

さてさて、それでは最後に恒例の『命名の儀』でございます。
今回の'68プレシジョンベースには『エミリア』と名付けました。
由来はこちらの方から・・・。

Emilia

正しく「E.M.T. !!」でございます。

そして!
長らく活動休止状態が続いていたバンド『甘味三昧』には待望の新メンバー3名が加入し、いよいよ再始動致します!!
全ての歯車が噛み合って、私のバンドライフも新たなるフェイズに突入です!
最高のパートナーである『エミリア』を携えて再びライヴハウスのステージに立てる様、日々精進して参りたいと思っております。

乞うご期待です!!

テーマ : 楽器
ジャンル : 音楽

ベース歴30年の集大成。➂

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-5

そこにマスタービルダーのプライドと意地を見た。

(前回エントリーから続く)
Instagramにアップされたベースの画像を見て、一目で【自分がオーダーしたベース】という確信が持てなかったのは何と言っても・・・

ポ、ポジションマークが白いんですけど・・・??

・・・そう、この一点に付きましたね。
ブルーアイスメタリックのマッチングヘッドにパドルペグ、トランジションロゴが使われている1968年仕様のプレシジョンベースなんて、そうそう頻繁にオーダーされるようなモデルで無いことは火を見るよりも明らかなのですが、いきなり目を奪われた『白いポジションマーク』には、只々困惑するより他有りませんでした。
通常プレシジョンベースのメイプル指板であれば『ブラック・ドット』のポジションマークになるのが当たり前ですし、オーダーシートでも間違い無くその様に指定した筈です。
ジャズベースのメイプル指板では1973年半ば~1982年初頭迄の間に『ホワイトパーロイドのブロック』ポジションマークが使われていますが、プレシジョンベースではその間も一貫して『ブラック・ドット』が使われていました。
こんな単純な仕様に関してベテランのマスタービルダーであるジェイソン氏が間違える筈は無く、だとすればやはりこれは・・・

や・・・やってくれちゃいましたね~ッ!!

・・・つまりはそういうことなのでしょう・・・と。
マスタービルダーがオーダー品を制作する際にそのオーダー内容に反してでも『ビルダー自身のアイディア』を盛り込んで来るという事例は、私も過去に幾つか実例を見て知ってはいましたが、まさか自分のオーダー品でそれが行われるとは・・・。
かの中村梅雀氏がジョン・クルーズ氏へオーダーした1960年仕様のフレットレス・ジャズベースでのオーダー内容との齟齬に関する記事は、結構広く知られているところだと思いますが、今回私がオーダーしたベースもどうやら似たような事例になってしまった様ですね・・・。

金子さんと連絡を取り、今回も「取り敢えずは実器を見てから処置を決定しましょう。」ということになりました。
そしてそれから2ヶ月程経った先日、ついに『2号機』が吉祥寺店に入荷したとのことで、内心かなり緊張しつつ・・・流石にいつもの様に「喜び勇んで」とは行きませんでしたが・・・吉祥寺へ赴きました。
梱包が解かれる様子をドキドキしながら見つめ、いよいよ実器とご対面・・・

おぉっ!!

『初号機』の時と同じく、第一印象はすこぶる良好でした。
実際に試奏をしてみると、その音色はやはり「素晴らしい!!」の一言でして、金子さんがチューニングをしつつ幾つか簡単なフレーズを♪ポロロンと弾いた途端・・・

「アハハハハハハッ!!こりゃまたスゴイですねぇ~!!」

・・・と、思わず2人で顔を見合わせて笑ってしまうくらいでした。
それはもうベースを弾いた経験の有る方であれば恐らくは誰もが一聴しただけで納得させられてしまうであろう、“良い音”が鳴っちゃってるんですよ。
私は現在メキシコ製と日本製のプレシジョンベースも所有していますが、それらとの音色の差異は某テレビ番組の「格付けチェック」宜しく目隠しをした状態だったとしてもきっと“誰もが”聴き分け出来るであろうと思える、《明らかなレベルの違い》を感じさせられる程に歴然としたものです。
それにしても一体何がここまでの《違い》を生み出すんでしょうかねぇ・・・??
木材のグレード?木工の技術?P.U.の違い?塗装の違い?組み込みやセットアップのセンス?・・・それらを全部ひっくるめて??
楽器の音色には個人個人の好き嫌いが有りますので、一概に「優劣」を付けることがナンセンスなのは百も承知しているつもりですが、やはりこの出音を聴かされてしまうとある意味納得せざるを得ないのも確かなんですよね・・・ええ。
ちなみに試奏に使用したアンプはハートキーの【HA3500】+【4.5XL】の組み合わせで、比較的楽器本体の「素の音色」が判り易いチョイスだと思います。ハイ。

そして懸案事項である各部のディテールをチェックした結果、今回の『2号機』でも以下の項目についてオーダー内容に対する齟齬と、品質上の難点が生じていると判明しました。

➀ 指板面のポジションマーク
   ブラック・ドット ⇒ ホワイトパーロイド・ドット

➁ 12フレット上のポジションマークの間隔
   ナロー(狭い) ⇒ ワイド(広い)

➂ 指板の貼り合わせ
   ラウンド貼り(ラウンドボード) ⇒ フラット貼り(スラブボード)

➃ ピックガード
   トラスロッド調整口の所に有る「くぼみ」の整形が粗雑

・・・以上の4項目でした。
➀のポジションマークについてですが、先述した通りにこれはもうジェイソン氏が自らの意思で「オーダー内容を無視して仕様を変更した。」ということになるのでしょうね。
ちなみに指板サイドのポジションマークはちゃんと「ブラック・ドット」になっていますから、間違い無く確信犯的に『俺様仕様』を盛り込んだものと考えられます。

➁のポジションマークの間隔ですが、オリジナルでは1963年の半ば頃にそれまでの「ワイド」から「ナロー」に変更されています。
よって、1968年仕様の本器では「ナロー」が正解なのですが、近年のC/S製品に於いては逆に'50~'60年代初期仕様のリイシューモデルが「ナロー」になっていたりするケースも多々見受けられますので、もしかするとヴィンテージ物との差別化・・・偽造防止の意味を兼ねてのメーカー全体としての処置なのかもしれませんね・・・。
しかしながら、中にはキチンと再現されている個体もちゃんと存在していますので、個人的にはキッチリと再現して欲しかったところですね・・・。
しかもこの点に関しては『初号機』でも「ワイド」になっていましたので、再オーダーに際しては注意してもらうようにお願いしていたポイントでしたので、殊の外残念でしたね・・・。

➂の指板の貼り合わせ方が違って来るとは、これは全くの想定外でしたね。
ある意味、高額なC/Sのリイシューモデルとしては“致命的な”仕様違いでは有るのですが・・・。
これに関してもやはりこんな単純な仕様間違いのミスをジェイソン氏が犯す筈は無く、何かしらの狙いや意図、或いは製作上の都合が有って指板の貼り合わせ方を敢えて『フラット貼り』に変更したものと推察されます。
事実、『初号機』はちゃんと『ラウンド貼り』になっていましたからね・・・。
もし仮にこれが万が一にも「ラウンド貼りは手間が掛かって面倒だから。」などという理由だったとしたら、それはもう噴飯モノで大激怒に値する話ですけど・・・。(無いことを祈っていますが。)

➃のピックガードに関してですが、オーダー指定は『パーチメント(エイジドホワイト)3プライ』でしたので、これは間違い無く単品制作された物の筈です。
ジェイソン氏自らが作ったのか、アシスタントさんや製造ラインの担当者さんが作ったのかは判りませんけど、コレに関しては単純に《仕事が雑》なだけの話ですね。
最早論外と言わざるを得ないでしょう。

・・・といった次第で、幾つかの問題点が判明した『2号機』ですが、今回私はこのベースを単なる『リイシューモデル』では無く『ジェイソン・スミスというマスタービルダーによる作品』と捉えて、購入に踏み切ることにしました。
折角の機会ですから、この際ジェイソン氏が逆提示して来たスペックをとことん味わい尽くしてやろう!・・・かな、と。
こちらのオーダー内容を“捻じ曲げて”まで、自ら発案したスペックを盛り込んで来たジェイソン氏のプライドと意地に敬意を表して、自分もこのベースをキッチリと使い込んでみたくなったという次第。
勿論、「これ以上ゴネたところで、恐らく良い結果は得られないであろう。」という“諦めに等しい決断”が有ったのも、これまた紛れも無い事実なんですけどね・・・ええ。
ただこれは自分でも本当に不思議なんですけど、今回は実器に触れて爪弾いている内に自分自身の中でこのベースに対する考え方、捉え方が何故か見る見る内に『ポジティブ思考』に変わって来るのを実感したんですよ。
中村梅雀さんが件のジャズベースに対しておっしゃられた、「このベースはこのまま返却せず私の手で育てる。」という言葉が正にピッタリと当て嵌まる感じですね。

但し、購入するにあたり整形不良のピックガードだけはリプレイスメントパーツの【'62 Precision Bass用ホワイト3-プライ】と交換して頂きました。
フェンダー社のピックガードは丁度1968年の中頃に断面の角度が変更されてそれ以前の「約40度」から傾斜が急角度に変わるのですが、旧仕様品のリプレイスメントパーツでは1962年モデルでも「約40度の傾斜角」が再現されておらず、更には色もセルロイド製を再現した「ミントグリーン」では無く純然たる「白」なので、皮肉なことに'60年代後期の仕様にドンズバだったりします。
まぁ、実はこういったパーツ類についても万が一のことを考慮して、なるべくメーカーの純正パーツに代替可能な物が有るのをチェックした上でオーダー内容を決めておくと、今回の様な不具合が発生したとしても比較的スムーズに後処理をして頂くことが可能になりますね。
ちなみにヴィンテージモデルのプレシジョンベースでピックガードを例に挙げると、「パール柄」や「パーチメント」、ゴールド以外の「アノダイズド」仕様の物を作り直すとなると、C/Sの工房に在庫が無い場合にはそれだけで《納期未定》となってしまうケースが有りますので、旧仕様モデルやピュア・ヴィンテージ仕様のリプレイスメントパーツに設定されているカラーを選んでおくと一先ずは無難な訳です。ハイ。

Fender C/S Custom '68 Precision Bass Closet Classic-6

そんな訳でして、かなりの紆余曲折を経たものの、フェンダーC/Sへオーダーした【Igaモデルのプレシジョンベース】は晴れて我が家へ嫁いで来ることに相成りました。
最初にオーダーしてから既に5年近くの歳月が流れていることを思うと、本当に長かったですねぇ・・・。(遠い目)
次回は細かいスペックやディテールについて、いつもの通りご紹介して行こうかな・・・と思っておりますので、どうぞお楽しみに。

まだまだ To be continued !! でございます!!

テーマ : 楽器
ジャンル : 音楽

プロフィール

Iga

Author:Iga
ベース歴はいつの間にやら30年以上なれど、恥ずかしながら腕前は今だに場末の「中の下」未満。
2011年11月より新たなCocco嬢のコピー&カヴァーバンド『甘味三昧』が始動し、鋭意活動継続中。
亀田誠治氏のサウンドに触発されて以来、バンドメンバーに疎まれつつも歪みベースを求めて止まない最早病的なまでの“歪みジャンキー”。

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